行田店のブログ
2021.06.06
86BRZレース 富士スピードウェイ④
決勝編であります
29台中26位の54号車トッチー号
29台中25位の53号車沼尻号
隣に立っているのは某大企業の代表取締役社長です。トッチーの顔の広さはハンパない。
相変わらず先頭が遠いでありますが頑張ろう
決勝レース日の解説であります
朝6時に前日の車両保管解除になりますのでまず車両を回収。
ブレーキのエア抜き。前日に拾って帰ってきた「タイヤカス」をタイヤから極力剥がします。
決勝の1ラップ目からMAXでグリップさせるためにこういった地道な努力が必要であります。
出走前点検をオフィシャルが行い、いざコースイン。
レースはインラップからやる事いっぱいであります。
まず、メカニックは自分のチームの車両のグリッドまで全力ダッシュ(笑)ドライバーが迷子にならないようグリッドに待機であります。
ドライバーは路面状況の確認。
具体的になにやってるかというと、タイヤ・ブレーキの暖気。これはやり過ぎると逆効果なのでタイヤの選択次第でモーレツに暖気する人と少しでやめる人が分かれるであります。
路面状況はどうなのか。当日の路面温度でベストラインは喰うのか喰わないのか。ベストラインを外した場合はタイヤカスが残っていてヤバいのか問題ないのか。
ウェットだったらどのラインが雨量が少ないのか・・・・
計測機やオンボードカメラは動いているか・・・などなど。
セーフティカーの先導でようやくグリッドに到着。
ここでメカニックにグリッドに止めてもらうでありますが箱車だとドライバーからはグリッドの線は見えないであります。
でも1cmでも前からスタートしなくてはなりません。でもはみ出したらペナルティ
沼尻は師匠M氏から教わった裏技でグリッド位置を把握してるでありますが・・・基本はカンであります。
メカニックはインラップのフィーリングを確認して車が来る前に測定していた路面温度と過去のデータをすぐに比較してエア圧調整。
タイヤの締め付けトルクも再度確認してメカニックのお仕事終了。
ここからはドライバーの勝負フォーメーションラップ開始。
ここで確認するのが・・・・止まれるのか。最初の1コーナーで場所取り合戦とブレーキング勝負は必ずおこるのでキチンと車が止まれてアンダー傾向かオーバー傾向かを確認します。でも把握しててもぶつかるのが避けられない場合ももちろんあります。
グリッドに戻ってブラックアウトスタート
スタート直後に沼尻が違和感を感じます。・・・・クラッチ滑ってる沼尻のスタート方法はサイドブレーキかけて半クラ待ちを使っています。
5千回転からあからさまに滑ってるN1からN0までのレース経験で初めての症状。アクセル戻すわけにもいかないので強制的に2速にシフトアップ。
回転は上がってたけど車が十分加速してないのでシフトアップしてから4千回転くらいまでドロップ滑りは無くなったものの右に見覚えある黄色い車が・・・
しかもこっち見てる(笑)
1コーナーまではなぜかYMS同士のバトル勃発
1コーナーでなぜかトッチーを抑えるライン取りになってしまいましたがひとまず前の集団に追いつく事に成功。
が・・・・・沼尻のペースが上がらない。過去を振り返ると決勝で必ず周りの車より1つくらいはアドバンテージがあって勝負をかけられたはずなのに今回は立ち上がりもブレーキも周りより劣っている。
必死で後ろを抑える走りにチェンジせざるをえないであります。
バトルすればペースは落ちるのでそのさらに後ろも意識してラインを考える必要があります。
我慢くらべのファイナルラップの最終コーナー・・・・・・右側から「ぼっこん」と嫌な音が
右前がゼブラに乗ってるのにその更に内側に特攻アタック仕掛けてきた車にプッシングされた
ターンインの真っ最中だったのでたまらずハーフスピン
ロスはあったものの順位変わらずフィニッシュしました。(プッシングしたドライバーはペナルティとなりました)
トッチーはどこにいったあれ?沼尻より先に車両保管場所に帰ってる。
出ましたABSトラブルでありますアクセル全開状態でスライドしながらゼブラを飛ぶとABSが誤作動を起こしほぼリアブレーキのみのブレーキバランスに早変わりという現象があります。残念ながらトッチーはリタイアであります
53号車沼尻は22位フィニッシュとなりました。
やっぱりレースは難しい
今回も栃本社長を初めYMSレーシングチームの皆様、YMSスタッフの皆様、応援して頂いた全ての皆様に感謝致します。また振り出しといった結果になってしまいましたが次回、11月の最終戦の富士で86BRZレースは最後となってしまいます。悔いが残らないよう全力で参戦しますのでまた皆様の応援とご協力をよろしくお願いします。
YMS行田店 沼尻翼
次回のブログは「エース笠原のN1レース奮闘記2021」でありますお楽しみに
2021.05.31
86BRZレース 富士スピードウェイ③
続きまして予選編であります
エキスパートクラスはエントリー29台の戦いであります。
朝っぱらから寝起きで1発アタックであります
その前に本番用タイヤに刻印とゼッケンをオフィシャルに記録してもらう作業があるであります。
レギュレーションでは予選決勝通して4本の同一メーカーのタイヤを使用しなければなりません。
これは資金力の差を出来るだけなくす為の対策で以前は何本でも使用可能でしたが・・・・新品タイヤは安くはないであります(笑)
以前は上位の方々は15分の予選の中で2アタックに対して2セットのタイヤを使用するチームが多かったです。
そうです。予選中にメカニックはタイヤ交換します
なので決勝のアベレージスピードを上げるには予選を1周で終わらせてタイヤを温存するのが基本。
2周すれば1周分不利になるので周回するのは少ないほうが理想的。
だがしかし公式レースはレギュレーションがあります。ドライバーが一番怖がるのが「4輪脱輪」であります。
コースは白線から白線と明記されております。つまりゼブラはコース外。その白線から「4輪」とも逸脱した場合、ベストタイム抹消という措置がとられます。
つまり1周のアタックで終わらせてその周回で違反があった場合、ノータイム無条件で予選落ちとなるであります
出来る事なら思いっきりショートカットしてタイムを稼ぎたいところですがキチンとルールが決まっています。
ちなみに4脱すると予選後にコントロールタワーからお呼び出しがかかり証拠画像を見せられ注意がされるであります。
予選後の場内アナウンスは恐怖であります
なのでセカンドタイムを出しておくという対策があります。しかし2アタックするため決勝では不利に・・・・そんな事を常に考えながらマージン0の全開アタックをドライバーはしなければなりません。
そんなわけで予選開始
53号車沼尻はブリヂストンのためコースオープンから1周目のアタックを狙ってコースイン。
54号車トッチー号はダンロップのためコースオープンと同時に3周目を狙ってアタック開始。
いつもとちがって皆さんコースオープン狙いらしく一斉にコースイン
沼尻の前に3台。後ろに3台。丁度よく団体の真ん中に配置されたであります。全車3台分ぐらい感覚を空けて同時に1周目でアタック開始。
ところが違和感を感じたであります。「制動距離が長くなってる」練習日に比べて新品タイヤも履いてるのに約1台分止まらない。
さらにオーバーステアも要所で出てくる。
前のマシンはたまたま上位入賞の常連様達・・・・ゲートを超える頃には3台分空けていた感覚が7台分に。
結果は2′07″913で25位。ポールポジションは2′05″406。
そうです。中古タイヤと新品タイヤの違いにハマりました。単純に新品タイヤにしたからバランスは変わらずに「グリップするだろう」と普通は考えるであります。
ですがバランスは変わります。中古タイヤで合わせたセッティングは新品タイヤに必ずしもマッチングするとは限りません。
なので「物量作戦」にでるチームが大半であります。
54号車トッチーは2′08″088で26位YMSは2人仲良く連番であります(笑)
予選はケツのほうですがレースは最後まで何があるか分からない
切り替えて次回、決勝編であります
2021.05.25
86BRZレース 富士スピードウェイ②
続きまして金曜日の練習走行編であります。
練習走行2本をこなします。
30分1枠なのでトータル1時間の走行であります。・・・・が
30分連続走行するはずがありません。
翌日の予選アタックに向けての調整をします。
走行会だと車高調の減衰力設定の変更やタイヤのエア圧を調整している方が多いでありますが、このレースになると、
ピットロードで「車高調整」「アライメント」「プリロード調整」「ブレーキパッド交換」が多いであります。
タイヤを外さないといけない作業ばかりなので1台あたり4人ほどメカニックが待機してるであります。
ブレーキパッドはもちろん熱い状態であります。しかし冷めていくのを待っていたら走行時間は無くなるのでメカニックは「溶接用皮手袋」を使って熱い状態のまま交換します。
手袋から煙出てる人もいましたね
なんでブレーキパッドを走行中に替えるの?
実は最近のスポーツカーはフルブレーキした時にABS(ブレーキを強く踏んだ時にタイヤがロックしてしまうのを機械的に防ぐ装置)の作動が前提の構造になっています。
前後のブレーキパッドの組み合わせでABS作動のタイミングや車のピッチング(前後方向の車の姿勢)が変わってきます。それのベストを路面状況によって探ります。
天気だけではなく直前に走ったカテゴリーのタイヤのコンパウンドまで想定する必要があります。
たとえば、とある海外製タイヤが走った後に国産タイヤで走ると信じられないほどグリップしない例もあります。もちろん沼尻も経験ありです。
そんなわけで沼尻は車高調のプリロードにしぼってテストを2本行いました。
2本目で丁度よくセット完了しました。トッチーの54号車も沼尻のデータをもとにセット変更であります。
その間に参加受付(ライセンスや各種申請書の提示)ドライバーズミーティング、メディカルチェック(血圧や両手の握力、医師の健康診断など)を行います。
これが手間と時間がかかります。
午後に専有走行があります。
専有走行とは、各クラスに分かれて走行します。実はここから戦いが始まるであります。
全車トランスポンダー(タイム計測できる発信機。壊すとお高い支払いがあります。)を装着し、各車両のベストタイムが公開されるであります。つまり翌日の予選で自分が大体どの順位にくるか想定が出来るであります・・・・が
中古タイヤの人もいれば30分の内に新品タイヤを2セット、3セット使う人もいる・・・・極め付けは全開かどうかも定かじゃない(笑)
つまり、データが公表されるということは「駆け引き」が始まるところであります。
ですが予報どうりウェット路面に・・・・ちなみに予選当日は90%晴れ予報。参考にならん
沼尻は練習用タイヤを使い切ったため専有走行はキャンセル。トッチーは「タダで走れるから走ってくる」と出て行きましたが「危ないから帰ってきた。」とのことでほぼアタックしないで帰還であります。(笑)
最後に車検、予選に向けての整備を終えて宿に向かうであります。
専有走行がデータにならない為予選は予測不能
次回、予選編であります。